kintoneにデータを入力しても、見積書・納品書として出せない——そのギャップに気づくのは、たいてい「お客様に送る必要が出てきた瞬間」です。

レコードを印刷してみたら、フィールド名と入力値が縦に並んだ画面がそのままプリントされた。しかたなくExcelを開いて数字を転記し、ロゴや宛先枠を整えてから、ようやく送れる——という作業が今日も続いています。

1件あたりの転記が10分だとして、月に20件あれば毎月200分が消えています。件数が増えるほど、この負担は静かに積み上がります。

この記事では、kintoneで帳票を出す方法を3つ比較します。「標準印刷では対応できない」という制限の正体を整理した上で、自社の件数と用途に合う手段を選べるようになることがゴールです。


なぜkintoneの標準印刷は帳票にならないのか

まず切り分けておくべきポイントです。kintone標準印刷は、業務システムの画面をそのまま出力するもので、取引先に渡せる帳票フォーマットへの変換には対応していません。「設定が足りないのか、機能がないのか」——答えは後者です。

kintone標準印刷の5つの制限を番号付きアイコンで示したインフォグラフィック

制限①:自社フォーマットで出力できない レコード詳細画面を印刷すると、フィールドラベルと入力値が縦に並んだkintoneの画面デザインそのままがプリントされます。会社のロゴ、宛先枠、合計欄のレイアウトなど、取引先に出せる様式への変換は行われません。

標準印刷が実用になるのは「担当者が内部確認用に画面を手元に持ちたい」場面だけです。お客様に出す書類として使おうとすると、必ずこの壁にぶつかります。

制限②:複数レコードの一括印刷に対応していない 月末に今月分の納品書をまとめて印刷したい——という用途には対応していません。1件ずつレコードを開いて印刷する操作が必要です。件数が多いほど、この制限は業務負担に直結します。

制限③:ブラウザのヘッダー・フッターが自動挿入される 印刷時にページのURLや日付がブラウザのヘッダー・フッター領域に自動で出力されます。ブラウザの印刷詳細設定でチェックを外せば除去できますが、担当者全員に設定を徹底するのは現実的に難しい面があります。

制限④:PDF・Excel・Wordへの書き出しができない 「PDFに保存」はブラウザの「印刷→PDFに保存」で代用できますが、これはブラウザの機能であってkintoneの機能ではありません。画面の印刷イメージをPDF化するだけのため、体裁の整った書類にはなりません。

制限⑤:一覧印刷で複数ページのタイトル行が消える 一覧画面を複数ページにわたって印刷する際、2ページ目以降にフィールドのタイトル行(列ヘッダー)が印刷されなくなります。何の列かが追えなくなるため、一覧としての実用性がありません。

kintoneのレコード一覧画面(見積管理アプリの例)

期待する帳票とkintone標準印刷の実際の左右対比概念図


ライトコースをお使いの方へ:kintoneライトコースはプラグイン・外部連携が利用できません。以下で紹介するプラグイン型の帳票ソリューションはすべて、スタンダードコース(月額1,800円×ユーザー数・税抜・最低10ユーザー)以上が必須です。ライトとスタンダードの違いについて詳しくは、こちらのガイドをご参照ください。


方法1:月額制の大手帳票サービス

月額課金型の帳票サービスは、kintoneのプラグインとして動作し、自社の様式に合わせたテンプレートを設計できるのが強みです。一覧画面から複数レコードをまとめて帳票化する「一括印刷」に対応しているため、月間の発行件数が多い事業者に向いています。

プリントクリエイター(トヨクモ株式会社)

プリントクリエイター公式サイト公式サイトのトップページ 出典: プリントクリエイター公式サイト(https://www.kintoneapp.com/print-creator/

kintone向けの帳票サービスとして普及しているツールです。2026年8月時点の料金は以下のとおりです(税抜・kintone1環境につき1契約・初期費用なし)。

プラン月額(税抜)主な対応機能
ライト¥7,000基本帳票出力・月5万枚まで無料出力
スタンダード¥12,000同上
プレミアム¥18,000同上
プロフェッショナル¥30,000電子署名タイムスタンプ・時間指定出力
エンタープライズ¥35,000最上位プラン

30日間の無料試用があります。プランによって電子署名タイムスタンプ付き契約機能・時間指定出力・リアルタイム出力などの機能に差があるため、必要な機能を確認した上でプランを選ぶとよいでしょう。料金は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

一括印刷:対応しています。一覧画面で複数レコードにチェックを入れてまとめて出力できるため、月末の請求書・納品書の発行など件数が多い用途で特に効果を発揮します。

このサービスが向くケース

最低プラン(¥7,000/月)で年間¥84,000のランニングコストになります。帳票作業の工数削減とのバランスで判断してください。


方法2:買い切りプラグイン「pullie帳票プリント」

このプラグインは、当メディアを運営するpullieが開発・販売しているツールです(kintone認定パートナーではない独立したサービスです)。

pullie帳票プリント製品ページ公式サイトのトップページ 出典: pullie帳票プリント製品ページ(https://pullie.jp/products/print-form/

月額費用なしで、レコードから見積書・納品書・請求書などの帳票を出したい方向けに設計しています。レコード詳細画面を開くと「帳票を印刷」ボタンが表示され、クリックするとポップアップで帳票プレビューが開きます。ブラウザの印刷ダイアログからPDF保存まで完結します。

エディションは3つあります。Free(¥0)とPro(¥5,980・買い切り)は1レコードずつの単票印刷、Pro+(¥9,800・買い切り)はさらに一覧画面の「一括印刷」に対応します。Pro+の一括印刷は、一覧の絞り込み条件・並び順そのままに最大100件を1回の操作でまとめて出力でき、1レコード=1ページで自動改ページされるため、月末の納品書・請求書のまとめ発行に向いています。

Free(¥0)・Pro(¥5,980)・Pro+(¥9,800)の違い(すべて買い切り)

機能FreeProPro+
帳票タイトルの自由設定(見積書・納品書・請求書等)
宛先・日付・合計の自動差し込み
発行者情報の表示
A4縦レイアウト・PDF保存
明細サブテーブルの罫線付き表出力
帳票番号の自動生成
備考欄・お振込先欄の表示
一覧の一括印刷(最大100件/回)

見積書・納品書として「品目・数量・単価・金額の明細行が表組みで印刷できる」ことが必要な場合はPro以上が必要です。月に何十件も発行していて1件ずつの印刷操作が負担になる場合は、一括印刷のあるPro+を選んでください。Free版はシンプルな単項目の合計書類(例:作業費の単体請求書など)の用途に向いています。

動作条件:kintoneスタンダードコース以上・レコード詳細画面(デスクトップ)・ブラウザのポップアップ許可が必要です。購入後30日以内の不具合はBOOTHメッセージでサポートします。

製品詳細・購入は pullie帳票プリント製品ページ からご確認ください。

インストールから帳票出力まで(5ステップ)

kintoneプラグインの導入は、管理者権限があれば数分で完了します。

ステップ1:プラグインファイルをダウンロードする

BOOTHの商品ページからzipファイルをダウンロードします。Free版は無償・Pro版は購入後にダウンロードリンクが発行されます。

BOOTHでプラグインを入手する3ステップのフロー図

ステップ2:kintoneシステム管理からプラグインをアップロードする

kintone右上のアバターアイコン → 「システム管理」→「プラグイン」→「+」ボタンからzipファイルを選択してアップロードします。

kintoneシステム管理でプラグインを追加する5ステップの手順フロー

アップロード後にプラグイン一覧に表示されれば完了です。

ステップ3:使用するアプリにプラグインを追加する

レコード一覧の右上にある歯車アイコンからアプリ設定を開く

帳票を出したいアプリを開き、右上の歯車アイコン → 「アプリを設定」→「プラグイン」タブ → 「+」ボタンから、追加したプラグインを選択します。「アプリを更新」ボタンを押して保存を完了させてください。

ステップ4:プラグインの設定画面でフィールドをマッピングする

pullie帳票プリントのプラグイン設定画面。帳票タイトル・宛先/日付/合計金額のフィールド・明細テーブル(Pro)を選んで保存するだけ

帳票タイトル(「見積書」「納品書」など)、宛先フィールド・日付フィールド・金額フィールドをkintoneのどのフィールドに対応させるかを設定します。Pro版の場合はサブテーブルの明細フィールドも設定します。設定後に「アプリを更新」で保存します。

ステップ5:レコードから帳票を出力する

kintoneのレコード詳細画面(見積管理アプリ — コメント欄に確認・連携の記録が残る)

設定が完了すると、レコード詳細画面に「帳票を印刷」ボタンが表示されます。ボタンをクリックすると帳票プレビューのポップアップが開きます。

pullie帳票プリント Pro版のA4帳票ポップアッププレビューのイメージ図

内容を確認してからブラウザの「印刷→PDFに保存」でPDFとして保存できます。

ここでつまずく場合は、無料相談で画面を見ながら一緒に確認できます。


方法3:手作業転記の現実的なコスト

プラグインを導入せず、kintoneのレコードを見ながらExcelやWordに手入力して帳票を作る方法です。追加コストがゼロという点は事実ですが、継続するにつれて人件費という形のコストが積み上がっています。

手作業転記の年間コスト試算 月件数別横棒グラフ

kintoneのレコードを確認しながら別ツールに転記する作業時間は、書類の複雑さによって変わります。品目が1〜3行程度のシンプルな見積書であれば5〜10分程度、明細行が多い場合や宛先・日付・振込先など複数箇所を整える場合は15〜30分かかることがあります。

月に20件の見積書を発行し、1件あたり10分の転記が必要だとすると、毎月200分(約3時間超)が転記作業に費やされています。この時間が別の業務に使えることを踏まえると、プラグイン導入の費用対効果を検討する価値があります。

手作業が現実的なケース

件数が増えてきた段階で早めにプラグイン移行を検討するのが、長期的には合理的です。


3方法の比較と選び方

kintone帳票印刷4方法の比較表インフォグラフィック

比較項目kintone標準印刷月額サービス(例:プリントクリエイター)買い切りプラグイン(pullie帳票プリント)手作業転記
初期費用なしなし¥0〜¥9,800なし
ランニングコストなし¥7,000/月〜(税抜)なし人件費
一括印刷Pro+ ✓(最大100件/回)△(人力)
明細表の出力Pro以上 ✓✓(手動)
自社フォーマット対応
向いている月間件数内部確認のみ大量発行・高機能が必要月額をかけたくない場合全般5件以下

選び方の判断基準

月額サービスが向くケース:電子署名・タイムスタンプなど法的効力が必要な書類を扱う場合や、1回100件を超える大量発行・時間指定出力など運用の自動化まで求める場合。30日間の無料試用で業務に合うか確かめてから契約するのが現実的です。

買い切りプラグインが向くケース:月額費用をかけたくない場合。件数が少なければPro(¥5,980・単票)、月末のまとめ発行が必要な規模ならPro+(¥9,800・一括印刷対応)と、発行件数に合わせて選べます。まずFree版(¥0)で試してみて、「明細行の表組みが欲しい」でPro、「1件ずつの印刷が追いつかない」でPro+へと段階的に上げるのが合理的です。

手作業が許容できるケース:月5件以下かつ今後も増えない見込みの場合のみ。件数が増えてきた段階では早めにプラグインへの移行をおすすめします。

kintone標準印刷は帳票フォーマットとして使える場面が限られるため、「転記をなくす」という目的においては、プラグインか月額サービスが実質的な選択肢になります。

なお、プラグイン・月額サービスともにkintoneスタンダードコース以上が必要です。ライトコースをお使いの場合は、スタンダードへのコース変更が前提になります。


pullieについて

本記事で方法2として紹介した「pullie帳票プリント」は当社製品ですが、pullieが提供しているのはプラグインの販売だけではありません。ここで当社の立ち位置を明示します。

pullieはkintone認定パートナーではない、独立した事業者です。建設・不動産の現場実務(施工管理・マンション管理・不動産仲介)を経てkintone構築に携わっているため、「業務の現場でどう使うか」を起点に話を聞くことができます。

認定パートナー制度は、kintoneの技術力の外形的な証明として意味のある仕組みです。ただし、認定が保証するのはkintoneの技術知識であって、発注側の業務(受注管理・原価管理・日報・現場連絡など)の実務理解までは保証しません。「技術的には正しいが、現場に合わず使われない」というシステムになるかどうかは、担当者の業務理解で決まります。kintone開発会社の選び方については、こちらのガイドをご参照ください。

帳票化を入口に、承認フローの整備・他システムとの連携・kintone全体の使い方の見直しまで検討したい方は、実際の構築物と進め方をそのままお見せする形で最初の相談を受けています。


まとめ

kintoneで見積書・納品書を帳票として出す方法は3つあります。

  1. 月額制の大手帳票サービス(プリントクリエイター等):一括印刷・高機能が必要な場合に。月額¥7,000〜(税抜)
  2. 買い切りプラグイン(pullie帳票プリント):月間件数が少なく月額費用を避けたい場合に。Free(¥0)〜Pro(¥5,980・買い切り)
  3. 手作業転記:月5件以下かつ増える見通しがない場合のみ許容範囲

3つとも、kintoneライトコースでは利用できません(プラグイン・外部連携はスタンダードコース以上が必要)。現在ライトコースをお使いの方は、コースの確認が先決です。

初期投資を抑えた進め方の例として、まずFree版(¥0)を入れて帳票化の感触を確かめ、明細表が必要になったらPro版(¥5,980)へアップグレード、一括印刷の必要性が高まった段階で月額サービスへ移行する、という順番があります。「まず動かしてみる」ところから始めるのが、kintoneの帳票化では現実的です。